都内の小さなオフィスで、退勤間際に作業していた事務員が、不可解な報告書を残した。
「確かに自分で入力したはずだが、文章が勝手に変わっていた」と。
報告書には「会議は14時から」と書いたつもりが、プリントされた紙には「会議は死時から」と印字されていた。
同僚が不審に思い、監視カメラの映像を確認すると、彼女は間違いなく「14」とタイプしていた。
翌日、オフィスの机の上にはキーボードだけが残され、報告書のデータは削除されていた。
代わりに、ファイルの一覧には**「■■■■■■■■」**という不可解なファイル名が追加されていた。
このキーボードは後に財団の調査部門により回収され、SFP-6231《虚言盤》として登録された。
アイテム番号: SFP-6231《虚言盤》
オブジェクトクラス: 揺

特別収容プロトコル
SFP-6231は防音加工済みの電子機器収容室に格納される。
対象は外部ネットワークへの接続を一切禁じられており、実験時は隔離端末に接続すること。
入力ログはリアルタイムで紙媒体に出力し、電子データは直ちに削除される。
実験参加者は必ず心理検査を受け、入力後48時間は観察下に置く。
特に「■■■■■■■■」を打ち込んだと主張した被験者については、継続的な監視が義務付けられている。
説明
SFP-6231は外見上、量販店で販売される日本語配列のキーボードと同一である。裏面の型番ラベルはすべて摩耗し、製造元は不明。
異常性は、入力した内容が意味を持つ別の言葉に改変される点にある。置換は偶然ではなく、恐怖や不安を誘発する内容に偏る。
- 入力例1: 「今日は眠い」
出力結果: 「今日は目を閉じてはいけない」 - 入力例2: 「昼食はカレーにした」
出力結果: 「昼食は■■に従えにした」
また、出力文を読んだ被験者は「確かに自分がそう打った」と記憶が書き換えられ、矛盾を指摘されると激しい混乱を示す。
長時間使用時には、文末に「────」が出力され続ける現象が発生する。モールス信号解析の結果、「HELP」「STAY AWAKE」などの単語として解読されたケースがある。

補遺 6231-β: 実験ログ抜粋
- 実験02
原文: 「会議は14時から」
出力結果: 「会議は■■時から」
被験者は「自分は“■■”と確かに入力した」と証言。矛盾を指摘されると錯乱状態に陥った。 - 実験05
研究員が日記を入力。原文: 「今日は研究が順調だった」
出力結果: 「今日は研究が順調だった────」
自動出力は約90秒継続。モールス信号解析で「LOOK BEHIND YOU」と判読。研究員は以降の勤務で「背後に気配を感じる」と訴えた。 - インタビュー記録(抜粋)
研究員:「本当に“■■”と打ったんですか?」
被験者:「……ええ、私が打ったんですよ。あなたがどう否定しても、■■は消えません。」
関連する実在アイテム(参考リンク)
※以下は通常の商品であり、異常性は存在しません。
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