カメラに写らないはずのものが写り込むとき

オブジェクトクラス:揺

ある地方都市のリサイクルショップで、古びたカメラと一緒に持ち込まれた一本のレンズがあった。
外観は一般的な50mm単焦点、多少の傷はあるが目立った異常はなく、査定もごく普通に行われたという。

しかし、ショップのアルバイトが試しにカメラへ装着して覗いたとき、違和感に気づいた。
ファインダーの中で、同僚の顔が「わずかに沈んでいる」ように見えたのだ。
笑っているはずの口元は、どこか無理やり吊り上げられており、目は確かにこちらを追っていた。

「気のせいだ」と思ってシャッターを切ったが、現像された写真には、笑顔のはずの同僚が無表情で立っていた。
その後、店内の監視カメラ映像を確認したが、撮影の瞬間も同僚は確かに笑っていた。

レンズは後日「査定の記録から■■が消えていた」との理由で、財団の調査部門に回収された。

アイテム番号: SFP-7324《残時鏡》残時鏡 50mm/f1.8

オブジェクトクラス:


特別収容プロトコル

SFP-7324は遮光ケースに収容し、収容室の監視カメラは物理的にカバーを施した状態で保管される。
実験時はレベル3以上の職員2名の立会いが必須。
対象を通して撮影された映像データは即時プリントアウトの上、電子記録は削除すること。

被験者が「レンズを通して見たもの」を報告する際には必ず音声のみで記録し、文書化は慎重に行うこと。
これまでに、文書に変換された報告の一部が自律的に書き換わる事例が確認されている。


説明

SFP-7324は外見上、50mm単焦点の一眼レフ用レンズに酷似している。外観や素材には異常は見られない。

異常性は「ファインダーを通して見える映像」と「肉眼での光景」が一致しない点にある。差異は微細であるが、被験者は高確率で強い不安を訴える。

主な特徴は以下の通り:

  1. 人物の表情の変化
     対象を通して人物を観察すると、実際よりも「わずかに口角が下がる」「視線がこちらを追う」などの違いが確認される。
  2. 時間のズレ
     時計や電子表示を覗いた場合、実際よりも数分遅れた時刻が映る。
     被験者は「未来を切り取っているのか過去を覗いているのか分からない」と証言。
  3. 撮影画像の異常
     対象で撮影された写真には、周囲に存在しない人物や物体が写り込む。
     確認された記録には「背後に■■■■■のような黒い影」「存在しない三本目の手」が含まれる。

補遺 7324-β: 実験ログ抜粋

  • 実験03
     被験者が研究員Aを撮影。ファインダーでは「笑顔のA」が確認されたが、写真には「無表情のA」が写っていた。A自身は「笑顔を作っていた」と証言。
  • 実験07
     廊下を撮影した結果、プリント写真には「■■■■■■■■」と判読不能な黒塊が写り込み、現場の研究員全員が「強い吐き気」を訴えた。
  • インタビュー記録(抜粋)
     被験者:「……見たんです。シャッターを切る前に、彼女の顔がほんの少し沈んで……でも写真には、完全に違う表情が残っていた。」

関連する実在アイテム(参考リンク)

※以下は通常の製品であり、異常性は存在しません。


注意

  • 本記事はフィクション(怪談風設定)+実在商品の紹介を組み合わせたコンテンツです。
  • 実在商品は通常の製品であり、異常性は存在しません。

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