深夜のネットカフェで、アルバイトが利用客から苦情を受けた。
「スマホの充電が全然終わらない」と。
端末の画面には、いつまでも「50%」と表示されたままだった。
充電器を確認すると、客は自前のモバイルバッテリーを使っていた。
黒い筐体のどこにでもある機種に見えたが、試しに別の端末に接続しても、残量はやはり50%から動かなかった。
やがて店内の時計が止まっていることに気づいたのは、苦情を受けたアルバイトだけだった。
翌朝、そのバッテリーはテーブルに置かれたまま残されていた。
利用客の姿は消え、監視カメラの記録も午前2時以降は**「50%」表示のまま停止していた。
アイテム番号: SFP-4512《半減電池》
オブジェクトクラス: 揺

特別収容プロトコル
SFP-4512は標準電子機器ロッカーに収容し、収容室は常時監視下に置く。
対象を充電状態のまま放置することは禁止される。
残量表示が「∞」に変化したケースが確認されており、接続機器に不可逆的な損傷を与える恐れがあるためである。
説明
SFP-4512は外見上、一般的なリチウムイオンモバイルバッテリーに酷似する。
異常性は以下の通りである。
- 残量表示の固定
接続した端末のバッテリー残量が常に「50%前後」を示す。
充電そのものは正常に行われるが、利用者は「まだ余裕がある」と錯覚し、長時間使用を続ける傾向を示す。 - 時間の停止現象
72時間を超えて連続使用した場合、接続機器の時刻表示が「23:59:59」で停止する。
停止後も利用者の主観時間は継続するが、映像記録やログはいずれも同一秒数で固定される。 - 心理的影響
長期的に使用した被験者は「自分の寿命が半分で止まっている」と訴え、社会復帰が困難となった例がある。
補遺 4512-β: 実験ログ
- 実験01
スマートフォンを接続 → 連続87時間後、端末の時刻が停止。監視カメラ映像では通常の動作が記録されていたが、対象端末で再生するとすべて静止画のように動きがなかった。 - 実験03
対象使用後、ノートPCの内部ログを確認。全ての充電記録が「50%」で統一されており、実際の消費履歴は削除されていた。 - 実験05
被験者が「まだ半分残っているから安心だ」と繰り返し発言。観察終了後も同じ言葉を繰り返し、心理的依存が強く残存。
関連する実在アイテム(参考リンク)
※以下は通常の商品であり、異常性は存在しません。
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